5月31日午前、真夏を思わせるような日差しが朝から照りつける中、東急東横線日吉駅の東西「慶應義塾大学日吉キャンパス・まむし谷」と「松の川緑道」を核に日吉の街の「生物多様性保全」に着目して企画された「“みどり”と“生きもの”を巡る散歩会」が開催されました。 「慶應義塾大学・日吉丸の会」主催のこの企画、「みど*リンク」アクション支援活動である「まむし谷と松の川のみどりをつなぐ次世代まちづくり」の一環をなすものです。
学生さん、親子連れから年配の方までという幅広い層の参加者は、商店街に置かれた「蝶を呼ぶためプランターに植えられたパセリ」の葉上にキアゲハの幼虫を見つけたり、「松の川緑道」内のビオトープでヤゴやカワニナを発見したりするなど、身近なところで生きものを育む取組みの意義や喜びを再確認した様子でした。
また、駅東西両地区を結ぶ友好の印ともいえる「『慶應義塾日吉キャンパス』内から『松の川緑道』に移植された『クサギ』」の植樹式では大きな歓声が上がっていました。「クサギ」の花は奥行きがある断面形状を持ち「大型の蝶」を誘引します。街の東西でよりたくさんの大型蝶が舞う姿が現実のものとなるよう「みど*リンク」チームも願っています。
さて、同日午後には、午前中のウォーキングで体感した「松の川」流域の地形や植生などを念頭に置きながら、より広い視野で地球温暖化の影響や温暖化への適応策について考えるセミナーが慶應義塾大学で開催されました。
鶴見川の支流の1つにあたる「松の川」は1950年代までは多くの水棲動物が生息していた清流で、周辺には豊かな水量を利用した水田が広がっていたといいます。岸辺には多くの野生植物が咲き乱れトンボや蝶が舞うなど近隣の子供たちの格好の遊び場だったことは想像に難くありません。
その「松の川」も今は暗渠化され川面をたどっていくことはできません。しかし、周辺の地形を注意深く観察すると尾根や沢の形状を見つけ出すことができます。慶應義塾大学日吉キャンパス内の「まむし谷」や「一の谷」も「松の川」の流域の一部をなしていました。往時の地形を保っているこの地ではより明瞭に地面の凹凸、植生や土砂の流出状況といった斜面のコンディションが観察できます。
セミナー講師は「慶應義塾大学・日吉丸の会」で顧問を務める慶應義塾大学名誉教授の岸 由二先生と同会代表で慶應義塾大学専任講師の小宮 繁先生。 近年、地球温暖化の進行ともに発生頻度が上がっているゲリラ豪雨とその際の河川の挙動、特に都市部を流れる河川における洪水のリスクと治水の重要性すなわち地球温暖化適応策のひとつのあり方について分かりやすく解説いただきました。 ともすれば、スケールが大きすぎて具体的な治水のイメージが湧きにくい大規模河川。しかし、その流域を支流、支々流そのまた支流といった階層に細分化していくことで、それは見慣れた森、近所の市街地、学校や公園といったユニットにダウンサイジングしていくことができます。 それぞれのユニットのステークホルダーが、適正な土地利用計画を立てたり、まとまった敷地では植生による緑地の保水機能すなわち土砂流出を防ぎ雨水の地中浸透を図ることや一時的な遊水・調整池機能を担保することは比較的イメージしやすいことかと思います。こうした取組みの1つ1つが流域全体に広く連担していくことで河川の治水が図られるのですね。 国土交通省社会資本整備審議会河川分科会「気候変動に適応した治水対策検討小委員会」の委員も務める岸先生は目先の5年、10年にとどまらない数十年から百年、さらには千年先を見据えた治水が重要だとおっしゃいます。
岸先生は「森や川を守る取り組みは、生物多様性保持や治水にとどまらず、都市計画から地域住民のつながりにも寄与する点で今後のまちづくりの根幹をもなす重要な要素の1つなのですよ。」と聴講者に静かに語りかけました。 大きく頷く聴講者の皆さんを見つめる岸先生の横顔に浮かんだ柔和な微笑みが実に印象的な土曜日の午後でした。
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