11月28日、東急東横線の綱島駅から徒歩5分ほどの鶴見川左岸高水敷(河川敷)にて、『みど*リンク』アクションが開催されました。
今回の支援グループは、鶴見川流域で植生管理や生きもの調査、クリーンアップ活動などを行っている「NPO法人鶴見川流域ネットワーキング(以下、TRネット)」です。代表の岸由二さんは、慶應義塾大学名誉教授(生物学)で、生物多様性などの環境問題を“流域”で考える「流域思考」の提唱者です。2015年の『みど*リンク』カンファレンスでは、「足もとからみんなですすめる地球人のまちづくり」というテーマで講演もしていただきました。
現在、TRネットが取り組んでいる「花さく鶴見川プロジェクト・綱島」は、在来種である植物「ヤブカンゾウ」「ハマカンゾウ」「ノカンゾウ」を増やすことにより、鶴見川をより安全な、生き物でにぎわう空間にし、綱島の街の魅力を高めようというもの。3種類のカンゾウで地面を覆うことで、花粉症の原因となるネズミホソムギや、アレチウリなど外来種の抑制にもつなげます。また、チョウの幼虫が食べる植物(ハナウド)を増やし、多くのチョウが飛び交う水辺を作る取り組みも並行して進めています。
本日行うのは、育成中のヤブカンゾウの根を分けて増やす「株分け」作業。参加したのは、TRネットのメンバーと当社社員です。『みど*リンク』アクションの認定証授与式後、さっそく作業を開始。まずは河川敷の育成地に植えられているヤブカンゾウを掘り出します。続いて、しっかりと育った株を複数に分けて植えていきます。こうすることで、ヤブカンゾウが地面を覆う面積を効率よく増やせるのです。
分けた株を植え終えたら、バケツで水をかけて完了です。カンゾウは1年に倍以上のペースで株が増えていくとのこと。数年後には、3種のカンゾウのオレンジの花が、河川敷いっぱいに咲く光景が見られるそうです。
NPO法人鶴見川流域ネットワーキング代表理事 岸由二さんコメント
カンゾウを鶴見川に植えようと思ったきっかけは、2011年の東日本大震災の時にあります。当時、私たちは三浦半島の小網代(こあじろ)という海辺の森で自然を残す活動をしていました。その海岸には、ハマカンゾウが群生していたのですが、高潮で土ごと流されてしまいました。
全滅したかなと思っていたところ、やぶにわずかに残っていたため、それを増やしていったのですね。するとそのハマカンゾウが地面を覆うグラウンドカバーになり、花粉をたくさん飛ばすネズミホソムギなどの外来種を抑えてくれました。ならば鶴見川でも外来種対策に使えるのではないかと考え、今回3種のカンゾウを植えることにしたのです。
外来種対策には、オギやアシなどの背の高い草も使えますが、背が高い草で覆われてしまうと、カニなどがいる川辺で地域の子どもたちが遊べなくなります。そこで今回は背の低いカンゾウを植えることにしました。ちなみにカンゾウは日本では古くから親しまれていて、万葉集の和歌などにもたくさん登場します。そうした文化の復興にもつながる取り組みだと私たちは考えています。
東急さんには、街を緑でつなぐさまざまな団体の活動にご支援いただいています。今後も、鶴見川の環境保全だけでなく、治水も含めたいろいろな取り組みを一緒に進めていければと考えています。今回はありがとうございました。