『みど*リンク』アクション

新緑が美しい季節となった5月14日、みなとみらい線 元町・中華街駅から徒歩7分ほどにある山手234番館(横浜市認定歴史的建造物)にて、2023年度最初の『みど*リンク』アクションが開催されました。今回の支援グループは、東京都市大学の田中章研究室と、なか区民の会百段公園愛護会によって結成された「元町百段公園バラの無農薬栽培チーム」です。

一般的に、バラの栽培では農薬の使用が不可欠であると考えられています。一方で農薬の環境への影響が懸念されています。バラを鑑賞する際には、花に顔を近づけて香りを楽しんだり、その実や花を食用に用いたりすることもあり、人体への影響も懸念されます。

そこで「元町百段公園バラの無農薬栽培チーム」では、環境保全・生物多様性保全、健康維持などSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、東京都市大学横浜キャンパスで20年の実績がある、無農薬・無化学肥料のバラ栽培を元町百段公園にて実施し、その実現可能性を広く社会に伝えようとしています。

『みど*リンク』アクションの当日は、「元町百段公園バラの無農薬栽培チーム」が年に一度、一般向けに開催している「元町百段公園のバラ鑑賞ツアー」も開催されました。

田中教授による講演会

田中教授(左)に認定証をお渡ししました

山手234番館内の会場に参加者が集まると、まずは東京都市大学環境学部環境創生学科の田中章教授が登壇し、「無農薬バラ栽培のチャレンジ ―生物多様性配慮型都市緑化として―」と題した講演が行われました。田中教授がバラを無農薬で栽培することの重要性に言及した際には、多くの参加者がメモを取るなど、バラの無農薬栽培への関心の高さがうかがえました。

続いて、参加者は複数のグループに分かれて、ブラフ99ガーデンやベーリック・ホールなど、バラが栽培されている横浜山手の公園を巡りました。その間に、山手234番館内の講演会会場にて、『みど*リンク』アクションの認定証授与式を実施。それが終わると、元町百段公園にてツアーを終えた参加者と合流し、実際に無農薬で栽培されているバラを鑑賞しました。

元町百段公園にてツアーの参加者と合流

ツアーは百段公園愛護会メンバーによる解説付き

公園内にはたくさんの無農薬栽培のバラが咲いています

農薬・無化学肥料で栽培されているバラは、農薬を使って栽培されているバラと比べても遜色のない美しさです。見事に咲き誇るその様子を、カメラで熱心に撮影する参加者も多数いました。「元町百段公園バラの無農薬栽培チーム」の取り組みが、バラの無農薬栽培の促進や生物多様性保全につながっていくことが大いに期待されるイベントとなりました。

思わず見入ってしまうほど美しいバラたち

公園内には、害虫を駆除するシジュウカラのための巣箱も

無農薬栽培の取り組みについて詳しく説明する看板のほか…

歴史ある元町百段階段に関する展示もあり、関心を集めていました

元町百段公園バラの無農薬栽培チーム 玄 理紗さん(東京都市大学田中章研究室所属)コメント

私たちは、バラの栽培に農薬を使うことが人体と生態系の両方に影響を与える可能性があると考えています。バラは本来、香りを楽しんだり、食用にして体内に取り込めたりすることも魅力ですので、無農薬で、安心安全に楽しめた方が良いのではないかと考え、バラの無農薬栽培に挑戦しています。生物多様性配慮型都市緑化の一環として、巣箱を設置してシジュウカラに害虫駆除をしてもらったり、土壌改良をすることで雑草を防いだりと、自然のものを活用しながら取り組んでいます。

「元町百段公園のバラ鑑賞ツアー」は昨年から始めたもので、今年で2回目の開催となります。前回同様たくさんの方々に参加いただき、大いに活動の励みになりました。参加された皆様が、ご家庭でバラの無農薬栽培に挑戦するなど、少しでも関心を持つきっかけになればうれしいですね。

2027年には、横浜市で「国際園芸博覧会」が開催される予定です。そこで無農薬で栽培したバラを世界中の人に紹介できたら素敵だなと思います。本日はご参加いただき、誠にありがとうございました。