『みど*リンク』アクション

立春がもうすぐとはいえまだまだまだ寒さの厳しい1月29日、東急東横線中目黒駅から山手通りを目黒方面へ歩いて5分ほどのところにある目黒区立目黒川船入場の広場で『みど*リンク』アクションが開催されました。今回ご紹介するのは支援2年目のグループ「一般社団法人中目黒駅周辺地区エリアマネジメント(以下、NAM)」です。

NAMは、母体である「中目黒駅周辺地区街づくり協議会」の実行組織として2020年10月に設立されました。中目黒駅を中心とし目黒川沿いに広がるエリアをより良いまちにしていこうと地域主体で取り組んでいます。

この日は平日でしたが、目黒川船入場の広場にはキッチンカーが2台出店し、パラソル付きのテーブルでは人々がランチや会話を楽しんでいました。中目黒駅からここまでは建設中の大きなビルと車の多さに驚きましたが、その喧騒とは対象的な光景です。

目黒川船入場の広場。背後には建設中の大きなビル

広場の木に近寄ってみると、ソーラーパネルの付いた電飾が付いています。「『みど*リンク』の今年度のご支援で設置させていただきました」と話すのは、NAMでコミュニティーマネージャーを務める安井真幸さん。電飾を設置したことで日没後の明るさが増し、遠くからでもイベントを開催していることを知ってもらいやすくなったそうです。

広場の木々に取り付けられた電飾

NAM代表理事の柏井栄一さんと合流したところで、認定証の授与式に。ほどなく安井さんは、撮影を希望するグループから声をかけられ対応へ。キッチンカーの出店や撮影だけでなく、イベントをしたい人は個人・企業を問わず多いのではと思えるすてきな空間です。

『みど*リンク』アクション認定証の授与式。

「一般社団法人中目黒駅周辺地区エリアマネジメント」代表理事の柏井さん(中央)と、安井さん(右)

ところが、NAMがここの活用を始めるまでは、広場に座れるところもなく、目黒川の沿道が花見客でにぎわう時季でも閑散としていたのだそうです。

広場のサイン。奥のレンガの壁が重厚な雰囲気

そこでNAMは、目黒区の「中目黒駅周辺地区街づくり整備計画」に基づき、キッチンカー出店による「まちのフードコート」と定期的なイベントによってにぎわいを創出する「ヒロバ」と、閉館していた「川の資料館」をリノベーションしたコワーキングスペース「タテモノ」から成る複合施設「フナイリバ」としてこの目黒川船入場を生まれ変わらせました。

「川の博物館 だった。」と書かれた、交流型コワーキングスペースの入口

平日のキッチカーの出店も増え、こうしたフナイリバのにぎわいを見て、「ここでこういうことできたらいいなと思っていました!」「ここでこんなことはできませんか?」など、それまでまちづくりに関わっていなかった方からも声がかかるようになったそうです。

この場所をどんな場所にしていきたいですか?と柏井さんにうかがうと、「私たちがこうしたい、というよりも、ここを活用したいと思ってくださる方々がそれぞれに色を付けていってくれればいいなと思っています。私たちはそのキッカケをつくっているところです。タテモノも、交流型コワーキングスペースとして、私たちは中目黒で起業したい方同士の交流の場をつくることが役割で、そこで働く皆さんに新しい事業を生み出していただけたらいいですね」と話してくださいました。

目黒川ではカモやアオサギ、カメがのどかに日光浴。この写真中にも10数匹!

交流型コワーキングスペース「タテモノ」にもおじゃましてみました。オフィスに続く回り階段にはすてきな鳥の写真が飾られています。オフィスからは四季折々の目黒川の景観を眺められ、気分転換に川面へ降りることもできます。目黒川ではカルガモやコサギ、カメがのんびりと日光浴していました。

「タテモノ」の回り階段からも目黒川の景観が楽しめます

「一般社団法人中目黒駅周辺地区エリアマネジメント」代表理事の柏井栄一さんのコメント

私たちはこの目黒川船入場を地域の重要な資源ととらえ、まちづくりに生かすべく目黒区に利用料を払って使わせていただいています。1年目に『みど*リンク』さんからテーブルやベンチ、パラソルのご支援いただいてにぎわいづくりを仕掛け、2年目は日没後のにぎわいづくりに必要な電飾をご支援いただきました。こうした「公共の場を生かす」という私たちの取り組みを東急さんにご支援いただけるのは本当にありがたいことです。

当初は目黒川船入場へキッチンカーの出店や企業のイベントを誘致することに抵抗を感じる方もいらっしゃいましたが、この風景に見慣れてくるとそういた気持ちもなくなり、逆に人が滞留することから生まれる人と人とのつながりの大切さを感じてくださるようになりました。まだまだ時間はかかりますが、こうしたまちづくり活動で収益を得られるようになれば、それを目黒川の桜に還元していきたいと思っています。桜の時季には区外からたくさんの方々が中目黒にいらっしゃいます。それはたいへんうれしいことですが、まちの側は警備やゴミ処理などの費用が発生します。そういった費用を負担しながら、これからも人の循環をつくっていきたいです。

いろいろな外的要因によって今の「ナカメ」ブランドがあるわけですし、「中目黒」と呼ばれるエリアも拡大していて、そういった面でも中目黒は変化し続けています。おしゃれな街、というイメージがある一方、まだまだ下町の情緒も地元の人の心に残っています。中目黒のさまざまな地域資源を生かしながらまちの魅力を高め、地域との交流・連携の場を作っていくことが私たち中目黒駅周辺地区エリアマネジメントの役割です。

私たちは2020年度から「未来ビジョン」(将来に向けたまちづくりの方針と具体的な取組目標)の策定に向けた準備を行っています。人と活動をつなぎ、過去と未来をつなぎながら中目黒の関係人口を増やし、一緒にナカメの将来について語り、そしてその実現に向けてまちを育てていく。多くの方に「自分たちのまち」と思っていただけるナカメを目指して、これからも取り組んでいきます。