『みど*リンク』アクション

6月25日、横浜市都筑区川和町にある「竹林工房 遊-Yu-」にて、『みど*リンク』アクションが開催されました。支援グループは、スパイスアップ編集部の取り組みの一つとして、2022年から活動している「SOZAi循環Lab」です。

SOZAi循環Labは、生活者視点で身近な“素材”を楽しみ、深く知ることで、サステナブルな商品の開発や暮らしの行動変容を目指す、ネットワーク型のリビングラボ(地域住民が主体となって、暮らしを豊かにするモノやサービスを生み出す活動)です。地域の人と人のつながり、環境、技術を活かして、地域のあちこちに小さな循環を生み出す取り組みをしています。

SOZAi循環Labが対象素材の第一弾として扱っているのは「竹」です。横浜市青葉区にある三菱ケミカル「青葉台リビングラボ」とのアイデアソンから生まれた「竹炭墨汁」をはじめ、郊外住宅地の竹林や間伐竹を地域で活用する仕組みを研究しています。

2024年度の研究テーマは、「郊外住宅地における小さな竹林管理者との協業」「無煙炭化器で炭焼した竹炭のアート活用」「竹炭の土壌改良利用」「竹および竹炭の身近な用途の開発」の4つ。毎月一回、誰でも参加できる「竹の実験(竹林の整備、竹の油抜き、竹ティピー作り、竹ペン・竹筆づくりなど)」を行って、さまざまな角度から竹炭の特徴や機能を探るほか、竹の魅力を五感で楽しめるイベント「竹フェス!」や竹の打楽器を使ったアートイベントの開催、さらに地域の小学校などへの環境教育出前講座(「竹炭墨汁を使って竹林問題について考えよう」)なども実施します。

本日の活動は「竹の実験」です。無煙炭化器を使って竹炭を作りながら、その火で竹筒ご飯を炊くほか、竹細工をするために竹から油を抜く作業も行います。参加したのは、SOZAi循環Labのメンバーと地域住民、そして当社社員です。

『みど*リンク』アクション認定証の授与式の後、“無煙炭化器”で火をおこすチームと、“竹筒ご飯”の器を作るチームに分かれて、作業を開始します。

代表の柏木さん(左)

竹林に入ります

着火剤となるシュロの葉を集めました

無煙炭化器に火をおこします

火をおこすチームは、「竹林工房 遊-Yu-」の裏手にある竹林内に生えているシュロの木から、乾いた葉を集め、着火剤として、乾燥させた竹と一緒に無煙炭化器のうえに並べます。ライターでシュロの葉に火をつけると、みるみるうちに大きな炎が立ち上がりました。

炎が安定したら、そのうえに長い竹をかざし、あぶっていきます。しばらく炎に当てていると、竹の表面にツヤツヤとした油が浮いてきました。この油を火傷に注意しながら布で拭き取ると、油が取れます。こうして油抜きをすることで、のちのち竹細工に仕上げたときに虫に食われる心配が減るそうです。

油抜きをする様子

布で油を拭き取っていきます

ノコギリで青竹に切り込みを入れハンマーで、叩くと…

竹筒の器ができました!

一方、竹筒ご飯の器を作るチームは、青竹の節の位置を確認しながら、ノコギリで切り込みを入れていきます。続いて切れ込みの端にナタを当て、その背をハンマーで叩くと、スパッと竹の表面が外れ、器が完成しました。取り外した部分はフタになります。

竹筒の器に米と水を入れ、フタをかぶせたら、無煙炭化器の上にセットして、30分ほど炊きます。おいしそうな香りが立ち込めてきたら、竹筒ご飯の出来上がり。「竹林工房 遊-Yu-」に併設している和風ダイニング「仁-Jjn-」で作ってもらったおかずと一緒に、参加者全員でいただきました。

お米と水を入れ、無煙炭化器の上にセットし、炊飯開始

おいしそうなご飯が炊けました!

ほんのり竹の風味がするご飯は絶品。食事をいただきながら、今日の作業の振り返りも行われました。好奇心を刺激された参加者の皆さんの、こぼれんばかりの笑顔が印象に残るイベントでした。

皆さん、お疲れ様でした

スパイスアップ編集部 SOZAi循環Lab 柏木 由美子さんコメント

スパイスアップ編集部は、10年ほど前にライターである私とグラフィックデザイナーの二人で立ち上げた団体で、最初は地域の情報を載せたフリーペーパーを作っていました。ただ、コロナ禍の時期に一方通行の情報提供だと、どういう人が読んでいるのかわからない。フリーペーパーのあり方を考え直さないといけないと感じて、地元の商品を売り歩きながら情報も届ける”動くローカルメディア”、キッチンカーの取り組みを始めました。

ところが実際に始めてみると、使い捨ての容器を使ったり、ガソリンを使ったり、フードロスも発生したりと、脱炭素とは程遠いものでした。そこで、何かキッチンカーで環境に良い活動ができないかと考え、竹の皮で包む“おこわ”を開発しました。このことが竹に着目するきっかけになりました。

ちょうどメンバーの一人が郊外住宅地で小さな竹林を管理していて、その竹林の使い道がなくて困っていました。結局、竹の使い道がなければ、お金をかけて整備してもしょうがない。だったら、もっと竹の”出口”を作ることをしないといけないと考えるようになったのです。その頃、メンバーの一人が「無煙炭化器」というものがあるという情報を仕入れてきました。これなら煙もニオイも出ないため、郊外住宅地でも使えるのではないかと。そこで無煙炭化器を使って竹をどんどん燃やして炭を作り、その竹炭の使い道を探る活動を始めたのです。これが、現在のSOZAi循環Labの活動につながりました。

SOZAi循環Labの取り組みについては、今後さらに可能性が広がると考えています。リビングラボの活動ですので、住民を主体としつつも、企業の皆さんにも入ってもらい、より地域課題の解決にもつなげていければと思っています。また、子どもたちにも積極的に働きかけながら、竹という素材がどういうものか知ってもらい、竹でできることを一緒に探りながら、新しい素材開発につながればと考えています。